卒業研究発表

女性の社会進出について

― 女性OTの社会進出についての意識調査 ―

2015年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

背景

現在,安倍内閣が経済再生に向けて展開している「大胆な金融政策」「機動的な財策」「成長戦略」の3つの矢がある.そして三本目の矢,持続的な日本の経済成長に繋げるための「成長戦略」の中に,女性の社会進出があげられている.政策として「待機児童の解消」「職場復帰・再就職の支援」「女性役員・管理職の増加」などがある.日本は女性の社会進出が遅れていて,その要因として勤続年数,産業,管理職比率など職階の差の現状がある.資格を持っているのに働いていない女性OTの現状を知り,臨床現場におけるOTの女性社会進出を促し,女性OTの社会進出に繋げる.

方法

郵送法でアンケート調査を実施した.アンケートと研究概要を送付し,内容記載のあるアンケートの提出を以って参加の同意を得た.対象は身体障がい領域の病院・社会福祉施設の女性52名,男性37名,合計89名のOTとした.分析方法:単純集計.年齢:30.40±5.59歳,経験年数:6.45±4.08 年.尚,本研究は本校倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:大医福 第15-教-2).

結果

アンケートの結果については下記のようになった.今後も作業療法士として働きたいかを男女ともに調査したところ「はい」が82%,その理由として「やりがいのある仕事だから」が71%「資格をいかしたいから」が22%であった.次に,妊娠・出産後復職を希望しますか?を女性に調査したところ「したい」が51%,「できればしたくない」27%であった.また,女性の社会進出についてどう思われますか?を男女ともに調査したところ「OT業界でも,女性の社会進出は重要な課題である」がややそう思うとの回答が多かった.そして「早急に対処しなければならない,身近な問題である」がどちらとも言えないとの回答が多かった.女性が管理職に就くことについてどう思うか?と男性に聞いたところ「いいと思う」が55%「とてもいいと思う」が24%となった.また管理職に将来就きたいと思うか?を女性に聞いたところ「したい」が6%と1割にも満たない結果となった.次に妊娠出産後の復職に不安はあるか?を女性に聞いたところ「育児と仕事の両立に対する不安」が28%「自身の知識・技術に対する不安」が18%「子供が体調を崩した時に休みが取れるかという不安」が16%であった.また,出産後,復職するために重要視するものは何か?では「労働条件の問題」が29%「仕事内容・待遇」27%「託児所・保育所の問題」が21%「育児上の問題」が12%となった.

考察

アンケート結果より,女性OTが管理職に就けない・就かない・就きたくない理由として仕事内容,結婚・妊娠,出産,子育てが挙げられた.また,男性からの意見として妊娠・出産を機に辞めたり,休んだりする女性には責任のある仕事を任せられないとの意見が挙げられた.これらをふまえ国の方針と現場で働いているOTの考えの相違があり,現場は女性の社会進出をそれほど強く望んでいないのではないかと考える.

まとめ

復職に対してのサポート制度は,日本医師会では,「日本医師会女性医師バンク」という女性医師のライフステージに応じた就業支援する制度がある.OT協会でもこのような支援制度が必要ではないかと考える.
勉強会の実施では,妊娠・出産を機に離職している間の医療の進歩に不安がある人への勉強会,女性の社会進出についての理解を深める為,臨床で働く男女OTへの勉強会などが挙げられる.
職場環境の整備では,ライフスタイルに合わせた勤務体系,託児所を設置.この3つがこれから必要であると考える.

文献

1)厚生労働省:2015雇用動向調査.
2)中村吉夫:働く女性の育児支援方策.保健の化学.2004

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