卒業研究発表

メロディーが長期記憶に及ぼす影響

2016年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

幼少期に歌った歌は今現在でも歌える事が多い.清河等1)による研究では三つの条件を設定し実験を行った.そして学習直後に自由再生を行うテストを行った後,10分間の妨害課題を行い,妨害後の遅延テストを行った.結果,視覚指示と替え歌の記憶法に有意差が認められた.しかし,現段階の研究では長期記憶に繋がる研究は行われていない.そこで私たちはメロディーに乗せて歌う事により,短期記憶だけでなく長期記憶に繋げる事が可能ではないかと考えた.

方法

一回目の実験では,大阪医療福祉専門学校作業療法士学科夜間部一年,男女26名,年齢10代~40代に実験を実施,二回目の実験では,大阪医療福祉専門学校理学療法士学科夜間部一年男女8名,年齢10代~40代に再度実験を行った.まず,目視で記憶する班と歌で記憶する班に分けた.二班の能力を均等にする為,記憶に関するテストを実施し成績から均等に割り振りを行った.共通課題を表情筋のテストとし,一班には20分間目視で覚えてもらい,もう一班には表情筋の歌を歌いながら覚えてもらった.一週間後表情筋のテストを行った.

結果

一度目の研究結果において目視の平均が8.7点,歌が9.7点.またT検定にて算出した結果,有意差は認められなかった(p=0.946).二度目の研究結果において目視の平均が9.5点,歌が11.5点.T検定にて算出した結果,有意差が認められた(p=0.029).

考察

実験2が実験1と異なり有意差が出た理由として一つ目に実験を行うグループの人数を4人と少数制にしたことが考えられる.村上2)による研究では大人数に対して教えるのは学生の受動的学習態度を助長してしまうが,少人数制にすることで学生の学習態度が積極的になり,自律学習の促進につながるとされている.二つ目は指導する学生の技量が上達したことである. 反復練習を増やし,合間に筋の名称とその作用のフィードバックを行ったことでエピソード記憶として定着させた.三つ目は実験前のグループ分けのテストを実験1では記憶力,実験2では記憶と同時に知識も問う問題に変更した.その点数から二つのグループに分けグループの実力が同じになるように分配した.このことからメロディーの効果が結果として現れたと考える.今回の研究でメロディーを使用することにより,短時間でその音の高低・強弱・長短を記憶定着させることが可能であり,それに併せて歌詞を記憶することが容易となったのではないかと考える.また記憶課題の難易度や曲の認知度,音楽経験の有無,記憶課題の得意さ,替え歌記憶法経験の有無が関係すると考えられる.

まとめ

本研究により,メロディーを用いた方法は長期記憶に繋げる記憶方法として有効だということが示唆された.又,歌を覚える際指導者の教える技術や環境設定も記憶に影響することが分かった.今後,学生が学力向上,及び国家試験対策として替え歌を活用していく上で,各教科の分野に対する汎用性を高めることで更なる実用化が期待できると推察する.

文献

1)清河幸子,三澤美翔・他:替え歌による記憶の促進.日本心理学会第78回大会発表論文集,2014,813.
2)村上彩美,伊藤恵一・他:大学英語教育におけるLearner-Centered Approach の導入 少人数制TOEICクラスでの実践.福岡大学言語教育研究センター紀要(14),2015,109-123.

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