卒業研究発表

優秀演題

200床以上の病院における診療待ち時間対策の現状と展望

2017年度 【診療情報管理士学科】 優秀演題

背景

 厚生労働省による128,020人を対象とし,得た『平成26年度受療行動調査』では,27.4%の患者が診療までの待ち時間に対して不満を感じている.受診目的や症状により個々の患者の診察時間枠は予想しがたく,待ち時間自体改善するのは非常に難しい.
 しかし,医療機関における待ち時間の長さに対する不満は,患者サービスにおいて重要な改善事項であることは明らかである.
 そこで本研究では,病院側が行っている待ち時間対策のサービスと患者側が感じる魅力的な待ち時間対策のサービスとを比較し,診療待ちの患者が何に対して不満を持っているのかを明らかにし,その不満への展望を開くことを目的とした.

対象および方法

 大阪府内の200床以上の病院を対象に「200床以上の病院における診療待ち時間対策の現状」についてアンケートを実施した.アンケート項目は①外来患者の総合平均待ち時間,②診療待ちの患者に対して行っている配慮,③今後行っていきたい配慮,④現在実施中の配慮について,病院側の見解の4つとした.(複数回答可)
 また上記のアンケートとメディケア生命住友生命グループ病院が調査した「病院選び・医者選びに関する調査」から「待ち時間対策のサービスとして魅力を感じるものは?」の調査結果とを比較し,病院と患者との間にある差異を明らかにした.

結果および考察

 34病院にアンケートを依頼し,25病院から返答があった.
 アンケートの結果,待ち時間対策のサービスとして現在25病院中14病院と過半数の病院が「待合番号モニター」を設置していた.また,残りの11病院中4病院が今後設置したいと回答した(図1).患者が病院の待ち時間対策のサービスとして魅力を感じるもの(図2)では,「何分待ちかが分かるサービス」が77.4%と最も多い結果であった.これは,病院側の考えと,患者側が魅力的に思う待ち時間対策の結果が一致することとなった.また,「現在行っている対策について病院側はどう思っているか」の回答には「不足しているが場所がない」が17病院、「不足しているが,資金面で不可能である」が6病院であった.この結果から,多くの病院が不足していると感じながらも病院の資源問題で解決できないということが明らかとなった.しかし今後行いたい配慮について11病院が「特になし」と回答している(図1).
 結果として,病院側の行っている配慮と患者側の要望との間に大幅な差はなかった.患者側が求めている物的要素は充実しているにも関わらず,不満があるのは職員等の人的要素が関わっているのではないかと考えた.人的要素としては,笑顔で挨拶する,患者を気にかけ話をする,親切で丁寧な対応をする等が考えられる.

まとめ

 本研究では,200床以上の病院における診療待ち時間対策の現状と展望について調査を行い,考察した.多くの患者が求めている「待合番号モニター」は,多数の病院が実施している事から,病院側が行っている待ち時間対策を患者は魅力的に感じていることがわかった.病院が行う待ち時間対策のサービスは患者の不満に直接つながらず,他に何らかの不満要素があると推察した.
 その結果,待ち時間に対する不満を取り除くためには,働く職員の気遣い等の人的要素が大切であろうと考えた.今後,医療従事者になった際は患者への親切な対応を心掛けたい.

文献

1)平成26年度受療行動調査 厚生労働省,大臣官房統計情報部

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