卒業研究発表

医療学生のニーズを活かした解剖学アプリの開発

2017年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

はじめに

 医療技術の進歩に伴って,人体に関する知識・技術のさらなる体得が医療従事者に求められつつある.『解剖学』はその養育機関において重要な基礎教科であり,必須科目に指定されている.また解剖学は,生理学・運動学を勉強するうえで基礎となる.自主勉強する際に解剖学の教科書では情報量が多く,必要な情報を取捨選択し,より重要な部分を簡潔にまとめることは困難である.そこで,摂南大学からアプリ開発の知識・技術の提供があり,医療学生から解剖学の知識・アプリに対するニーズの提供を行い,解剖学のアプリを共同開発することになった.

方法

 開発した解剖学アプリの学習効果を検証するために,作業療法士学科学生10名に対し,アプリの使用前と使用後で15点満点の小テストを実施した.注意事項として,実験参加中はアプリ以外の解剖学学習を行わないこととした.実験開始前に実験内容の説明・参加の自由・参加後でも随時研究参加の撤回が可能であることを伝え,同意を頂いた.分析方法は単純集計を用いて,前後の点数比較を行った (図1)

結果

 摂南大学と共同開発したアプリを使用してもらい,アプリの使用前・使用後で小テストを実施した.図2より,使用前の平均は10.3点・使用後の平均は12.4点となり,全体の平均が2.1点上がった.個人の結果において,点数の向上が著しい方で8点,反対に低下した方で-3点という結果であった.

考察

 共同開発した解剖学アプリを使用することで,アプリ使用後の点数が向上したことが分かった.向上した理由として,村瀬ら¹)は「『解剖学』などの教科では覚えることが多く丸暗記となる」と述べているが,今回簡潔にまとめられているアプリを使用することで積極的な勉強姿勢となり,成績が向上したのではないかと考える.しかし,反対に点数が低下した結果もある.それは,アプリの使用方法が上手く伝わっていない・最初から実験参加の意欲がない・アプリを使用する方が苦手などの理由が考えられる.アプリを使用した学習の方が行いやすく感じる人もいれば,教科書を使用した学習の方が行いやすく感じる人もいる.
 今回は教科書を使用した学習効果についての実験を実施できていないため,今後は学習効果を比較するために実施する必要があると考える.

まとめ

 医療学生の解剖学を学習する際分かりやすく理解したいというニーズと,摂南大学の学習支援をしたいというニーズをもとに今後もアプリを修正・改善していく.また,骨の内容だけでなく,筋肉や神経の内容も取り入れていきたい.今後アプリを使用した学習と教科書を使用した学習との比較も行いながらより良いアプリを摂南大学と共同で開発していきたい.

文献

1)村瀬政信,村上忠洋・他:本校での問題解決型教育工夫.リハビリテーション教育研究.9,2004,53₋56.

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