卒業研究発表

作業療法学生の臨床実習前後における睡眠満足度が作業療法士になりたい度に与える影響

2017年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

 臨床実習において,学生から「睡眠がとれるかな」「課題ができるか」など不安視する声が聞こえる中,学生の不安要素として,レポート課題,SVや患者様との関係性,睡眠不足など,どのような要素が作業療法士になりたい度が変化を及ばすのか.睡眠満足度・事前学習・余暇活動に焦点をあて臨床実習前後での「作業療法士になりたい度」の変化を調査し,影響している要素を特定し,後輩たちへの実習対策の一つとして提案し,臨床実習後に「作業療法士になりたい」と強く思えるようになってほしいと考えこの研究実施した.

方法

 本校の作業療法士学科に在籍している昼間部・夜間部,66名に臨床実習前後にアンケートを行った.実習前のアンケートでは作業療法士になりたい度(VAS),睡眠満足度,実習前学習,余暇活動に対して記述式アンケートを実施した.実習後アンケートは実習前アンケートの内容に加え事前学習が役にたったか,役に立った人は何を勉強したかを記述で回答してもらった.分析方法は,単純集計とT検定を用いて行った.倫理的配慮については研究の目的・方法を口頭で説明し,回収をもって同意とみなした.

結果

 臨床実習後に作業療法士になりたい度が上がっていた人が71%,下がっていた人が19%,変化がなかった人が10%となった.作業療法士になりたい度が上がっている群の睡眠満足度は,満足と答えた人が64%,不満足と答えた人が36%となり有意差がみられた.

 また,作業療法士になりたい度が上がっている群の事前学習と余暇活動との関係についてもアンケートを行い61%が事前学習を行い,55%が余暇活動を継続していたと答えた.

考察

 良知ら3)によると睡眠不足が解消されないと,精神的にも情緒不安定になり気力の低下を呈するとあり,臨床実習後の精神面にも大きく影響を及ぼすこととなった.
 「作業療法士になりたい度」に良い影響を及ぼすこととして,睡眠満足度・余暇活動の継続が臨床実習後の精神面にも大きく影響を与えることが分かった.

まとめ

 実習は,本来,作業療法士の素晴らしさを知ることができる魅力的な場所,多くの学生が「作業療法士になりたい」という気持ちを持ち帰ってくる場所であり,N4,D3が後輩に実習について話す機会が必要.個々で話すのではなく全体で共有し新しい生の感想を聞くことが重要でそれが,睡眠時間確保に繋がる一番の実習対策となると考える.

文献

1)井上昌次郎:ヒトや動物はなぜ眠るのか.バイオメカニズム学会誌, 29(4),2005
2)木戸真,河野光伸・他:臨床実習における学生の主観的睡眠時間とストレス度.性格特性との関係.第 46回日本理学療法学術大会 抄録集38.
3)良知雅美,吉浜文洋:臨床実習中の睡眠実態調査:看護 学生のメンタルヘルスを考える手がかりとして.2004,1‐17.

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