卒業研究発表

運動時の体位と眼圧の関係

2017年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

 緑内障において眼圧コントロールは非常に重要であるが,眼圧は変動因子が多いことで知られている.例えば年齢や性別,喫煙の有無,運動時や飲酒,体位,季節・日内変動まで様々な報告がされている.その中でも,体位は座位よりも伏臥位の方が上昇するといわれているため,運動時の体位と眼圧の関係について研究することにした1)2).

結果

 対象は本校の学生および教員,計40名で,内訳は10~20代男性10名,女性10名の計20名,30~50代以上の男性10名,女性10名の計20名であった.
 運動は腕立て伏せを選択した.膝を床につけた状態で行ない,肘を伸ばした状態から曲げ元の姿勢に戻る一連の動作を1回とし,40秒間に20回(2秒に1回)連続して行なった.
 運動前→運動直後→2分後→5分後の計4回両眼の眼圧測定をノンコンタクトトノメーターにて測定した3). 運動前と5分後の男女差,年齢差でT検定を行った結果,帰無仮説は棄却され,有意差がみられた.

考察

 伏臥位で眼圧が上昇すると予想したが,運動後の一過性の眼圧低下が有意にみられた.
 その中でも,女性より男性の方が有意にみられた.その理由として筋肉量はすべての部位において年齢に関わらず,男性が女性よりも有意に多く,また加齢に伴う減少の割合は男性の方が女性よりも大きいことを示した.
その為,運動の効果がより現れたと考える4).

まとめ

 緑内障において眼圧コントロールは非常に重要といわれている中,伏臥位で運動しても一過性の眼圧低下が有意にみられる可能性があることがわかった.
   そのため,日々続けられる適度な運動も取り入れていくと良いのではないかと考えた.

文献

1) 日本眼科学会 http://www.nichigan.or.jp/public/disease/ryokunai_ryokunai.jsp
2) 丸尾敏夫,久保田伸枝,視能学第2版,文光堂,東京,2010,45-47,219
3) 平田晃昌 簡便なトレーニングが筋力に及ぼす影響  2012
4) 谷本芳美・渡辺美鈴・他:日本人筋肉量の加齢による特徴.日本老年医学会雑誌Vol.47,2010,52-57

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