卒業研究発表

人差し指と薬指の長さの比率と男性脳・女性脳との関係性について

2017年度 【診療情報管理士学科】 口述演題

はじめに

 1988年,イギリスの心理学者ジョン・マニング博士が,胎児期に母親の胎内で生成された「男性ホルモン」(テストステロン)の濃度によって,男性も女性も,人差し指と薬指の長さの比率が決まると示唆した.薬指の成長は男性ホルモン,人差し指は女性ホルモンの影響を受け,男性ホルモンをたくさん浴びた人は人差し指より薬指が長いとされている.
 それ以降,世界中の研究者たちが,人差し指と薬指の長さの比率についての研究を行った.一方,近年,脳レベルの性差による「男性脳」「女性脳」の通念も広く普及してきたが,脳の構造に由来するか否かについては不明な点が多い.
 本研究では,テレビや書籍等で話題となっている「男性脳」「女性脳」と薬指と人差し指の長さの比率,すなわち男性ホルモン・女性ホルモンの量が関係しているのかについて考察することを目的とした.

対象および方法

 対象者は大阪府内の某医療系専門学校,診療情報管理士学科1年生38人,2年生43人,3年生33人と視能訓練士学科25人の計139人の学生を対象とした.「人差し指と薬指の長さの比率と男性脳・女性脳との関係性について」以下のアンケートを平成29年7月に実施した.有効回答は122枚(回答率は87.76%)であった.
アンケートの内容については,自身の人差し指と薬指を比べてどちらが長いかと,「あなたは男脳?女脳?鑑定」(作成者:yukio ozawa)を受けてもらい指数を算出した.人差し指と薬指の長さの比率については,人差し指が長ければ女性指,薬指が長ければ男性指,人差し指と薬指が同じ長さであれば中性指とした.問題は全20問.指数は-20から+20まであり,0を基準とし,指数が大きいほど男性脳の傾向が強く,指数が小さいほど女性脳の傾向が強いとした.
そして
1. 男性指,女性指と男性脳,女性脳の関係.
2. それぞれの性別と男性指,女性指の関係.
3. それぞれの性別と男性脳,女性脳の関係.
の3つのパターンに分け,χ2乗検定を行った.

結果

1. 男性指,女性指と男性脳,女性脳の場合では,男性指であったら男性脳,女性指なら女性脳というような有意な差は見られなかった.(P>0.05)
2. それぞれの性別と男性指,女性指の場合では,男性であれば男性指,女性ならば女性指というような有意な差が見られなかった.(P>0.05)
3. それぞれの性別と男性脳,女性脳の場合では,男性ならば男性脳,女性ならば女性脳の関係に有意な差が見られた.(P<0.05)

考察

 人差し指の長さと薬指の長さの比率の研究分野においてはヒト胎児期性分化段階で体内に分泌された性ホルモンが人差し指や薬指をはじめとする骨格構造と男性脳や女性脳を形成していると考えられている.本研究では,男性指,女性指は,男性脳,女性脳や性別との間に有意な差は見られなかった.すなわち,性ホルモンの影響は見られず確認できなかった.一方で,それぞれの性別と男性脳,女性脳の場合では,男性ならば男性脳,女性ならば女性脳の関係に有意差が見られた(P<0.05).
 今回の調査のアンケート対象が女性79人,男性43人と、女性に人数の偏りがあることも影響したのではないかと推察される.また,人差し指と薬指の長さを比較して大幅な差がなければ中性指としたが,各々で判断してもらったため中性指の範囲の細かな規定を定めていなかったことも有意な差がでなかった一因と考えられる.

まとめ

 本研究では,男性脳・女性脳と人差し指と薬指の長さの比率,すなわち男性ホルモン・女性ホルモンの量が関係しているのかについて考察することを目的とした.その結果,有意な差は見られなかった.性ホルモンが影響するとされる人差し指と薬指の長さの比率に関しても個人差や人種間によって差が見られるという報告もあり、今後の更なる研究が期待される.

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