リハビリテーション職種における情動知能の傾向
― 学生と臨床家との比較 ―
2019年度 【作業療法士学科 昼間部】 優秀演題
背景
小玉らは,医療・福祉系の学生と,看護師・介護士で感情の読み取り・語彙力・自己評価から情動知能の差を述べていた.看護師・介護士は共通言語、学生は若者言葉など,語彙の質に差が認められた.感情の読み取りでは学生は点数が低く,自己評価は高かった.本研究では文章から感情の読み取りを表情から感情の読み取りに変え,リハビリ職を目指す学生と臨床家で情動知能の差を比較した.
対象および方法
専門学校学生169名(STS・OTS・PTS)と病院の臨床家107名(OTR・RPT・RST)を対象に倫理委員会の承認を得てアンケートを実施.マンホイットニーのU検定で統計処理を行った.
結果
3項目全てに有意差が見られた(P<0.05).臨床家は表情から感情の読み取り・語彙の点数が高いが自己評価は低く,学生は表情から感情の読み取り・語彙の点数が低いが,自己評価の点数が高い結果となり,情動知能の認識に差異がみられた.
結論
今回,学生は臨床家に比べ表情から感情の読み取り・語彙において点数が低く自己評価が高いことが明らかとなった.学生の語彙力低下についての分析や,臨床家の自己評価が低くなった要因の考察が不十分であった.今後は学生のスキル向上に繋がる具体的な方法についても検討する必要がある.