臨床現場における利き手交換の判断の要因について
― 利き手交換を実施する場合,どのような要因に注目しているか ―
2019年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題
背景
坂本らは利き手・非利き手による機能の優劣について,西久保らは利き手交換の効果的な訓練についての研究を行ってきた.我々は,利き手交換を検討する際,作業療法士が参考にした評価,または治療の目的についてなど,どのような要因に注目しているのかを明らかにする.
対象者および方法
作業療法士27名(男性9名,女性18名,年齢34±10歳)を対象としてオリジナルアンケートを実施し,臨床現場での利き手交換を行う判断の要因から考察する.
結果
利き手交換を最も実施している疾患は脳血管障害であり,参考にした評価はBrunnstrom stageが最も採用されていた.また,少数ではあるが,経験年数によっては面接,観察を重要視する意見も上がった.利き手交換の目的としては,箸での食事動作再獲得を目標にした症例に最も多く実施されていた.
結論
利き手交換は,麻痺や感覚障害によって,利き手が実用手としての機能を失ったことに対する代償手段のひとつとして検討されている.作業療法士は,疾患,心身機能以外にも,治療目標,または年齢,役割などの背景因子も考慮して検討しており,心身機能面だけではなく,面接や観察の評価も含めて,総合的な要因に注目していると思われる.