座席による必要な遠見視力
2019年度 【視能訓練士学科 3年制】 口述演題
背景
上原らは,最後列(7m)の必要な最低両眼視力(0.8)が必要だと述べている.しかしこの研究では他の座席列の視力についての検討はされていなかったため,最前列(3m),中列(5m)での必要な最低両眼視力を検討した.
対象および方法
対象は,本校視能訓練士学科3年制課程2,3年(女性20名,年齢20±1歳).方法は,完全屈折矯正度数から弱い度数に変え,3mの座席に移動してもらい両眼で黒板の文字を読んでもらった.全ての文字が読めるところまでレンズ度数を徐々に強め,読めた時のレンズ度数にて,5m視力表で視力検査を行った.これを5m,7mの座席でも同様に行った.
結果
座席による必要な両眼遠見視力は,3mで0.125,5mで0.32,7mで0.63になった.小数視力をlogMAR値に換算し,各距離を比較すると,3mと5mでは4段階,5mと7mでは3段階,3mから7mでは7段階の差がみられた.
結論
結果より各距離での必要な最低両眼視力が分かった.しかし,かろうじて見える視力のため整った学習環境とは言えない.眼科受診の促進や座席の配慮が必要と考える.