卒業研究発表

優秀演題

中年層低視力者に対する重心動揺の影響について

― 距離の違いによる治療環境の検討 ―

2023年度 【理学療法士学科 昼間部】 優秀演題

背景

近年低視力者の割合は最多を更新しており,脳卒中患者の緊急搬送時等には眼鏡不所持で入院し,裸眼にてバランス練習等の理学療法開始場面も想定される.今回壁からの距離の違いが重心動揺に与える影響を検討することで低視力者の理学療法治療場面における適切な環境設定の一助とする.

対象と方法

対象は視力 1.0未満の低視力者であり中年層の教員10名とした.重心動揺計を使用し 測定課題は近,中,遠距離の3 条件をランダムに各1分間実施した.総軌跡長,X・Y軌跡長,外周面積の測定値について一元配置分散分析にて検討を行った.

結果

総軌跡長は近距離に比べて遠距離,中距離に比べ遠距離,X軸軌跡長では近距離に比べ遠距離,Y軌跡長では中距離に比べ遠距離で有意な差を認めた.外周面積では有意な差は認められなかった.

結論

低視力者は視覚での感覚制御が低下し壁からの距離が離れるほど体性感覚での姿勢制御が優位となるため,筋紡錘などを利用し細かな筋出力調整の連続によって立位保持を行っていると考える.また、X軌跡長の結果から左右方向不安定者であれば近距離,Y軌跡長の結果から前後方向不安定者であれば中距離以下の環境設定を行う事で安全な治療場面を提供できると考える.
1)秋月有紀・他:個人の最大視力に対する視力比の概念の導入.照明学会誌,86,2002,819-828.
2)伊藤八次・他:重心動揺検査のポイント.耳鼻臨床,98,2005,984-985.

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