大腿骨近位部骨折γ-nail骨接合術における選択肢の検討
2024年度 【理学療法士学科 夜間部】 口述演題
背景
臨床実習でLong γ−nail骨接合術を施行された症例を担当した. γ−nail 骨接合術に関して精査し,Long γ−nail (以下Long型)とShort γ−nail (以下Short型)の比較を検討していたところ,Middle γ−nail (以下Middle型)の存在を知った.3種類の利点・欠点・注意点を調査した.
対象および方法
γ−nailに関する先行研究を検索し, 症例への適合性を検討した.
結果
Long型の利点は固定力が高いが,手術が高侵襲となることが欠点である.Short型の利点は手術が低侵襲で済むが,欠点として固定力が弱い.Middle型はその他の型の利点を兼ね備えていることや圧縮応力が広範囲のため骨癒合が得られやすいことが利点だが, 症例報告は未だ少ない.今回の症例ではMiddle型を施行することで治療期間の短縮を図ることができたのではないかと考えた.
結論
Middle型はShort型より固定力が高く,Long型より低侵襲である.一方で,適切な長さの決定に関する生体力学的な検討は不十分であり,Long型やShort型と比較すると症例報告も少ない.今後,有効性を示す症例報告が増え,適切な対象患者の選定やクリニカルパスが作成されることを期待する.
1)佐野匠・他:大腿骨転子下骨折モデルに対する髄内釘長さの影響.日本機械学会2018年度年次大会講演論文集.18, 2018,1-5.
