末期変形性股関節症に対する電気刺激療法の有用性を検討した一症例
2024年度 【理学療法士学科 夜間部】 口述演題
背景
現在,変形性股関節症における電気刺激療法の有用性が確認された症例報告が少ない.臨床実習で経験した末期変形性股関節症により右大腿四頭筋の筋力低下を呈した症例に対し,電気刺激療法を用いた筋力トレーニングを行ったが最終評価に著明な変化は認めなかった.そのため,先行研究と比較し効果的な方法を検討した.
症例紹介
70代女性,右末期変形性股関節症,Manual Muscle Test(MMT)で右膝関節伸展段階2,右股関節伸展段階1,前腕支持型歩行器把持にて右片脚立位を実施時の右下肢荷重率44.6%であった.
結果
MMTで右膝関節伸展段階2+,右股関節伸展階1+と僅かに改善した.右片脚立位時の右下肢荷重率は38.2%で低下した.
結論
筋力がわずかに改善した理由として,等尺性収縮より遠心性収縮の方が筋力強化は見込まれたこと,治療が短期間であったことが考えられた.電気的遠心性筋力トレーニング法などの様々な収縮様式や設定方法による電気刺激療法を行う必要があったと考える.
1)渡部幸司・他:リハビリテーションにおける電気刺激療法の展望.順天堂医学.56(1),2010,29-36.
2)河戸誠司・他:大腿四頭筋に対する電気的遠心性収縮の筋力増強効果に関する研究.理学療法科学.25(3),2010,333-336.
