卒業研究発表

ガム咀嚼による上肢の作業効率と心理的影響

2023年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

背景

石川らは,ガム咀嚼中は交感神経の亢進が顕著となるが,口腔内では副交感神経系を同時亢進させると述べており,ガム咀嚼が上肢の作業効率や集中力,ストレスなどの心理面に影響するか調べた.

対象者および方法

大阪医療福祉専門学校に在籍する19歳から21歳の健常者21名をガム咀嚼なし,5分咀嚼,咀嚼し続ける3群に分け,脳卒中上肢巧緻性検査MFTのペグボード,バイタル測定,アンケートの日本語版PANASで行った.分析方法はEZRソフトにて一元配置分散分析,クラスカル・ウォリス検定で行った.

結果

生理反応では有意な群間差が認められなかったものの,上肢巧緻性検査の結果からの2群比較でガムを咀嚼した男性よりガムを咀嚼した女性の方が左手の上肢の作業効率が高かった.ストレスアンケートでは,ガムを咀嚼し続けるC群とガムを咀嚼しないA群のポジティブデータのなかでは,「機敏な」(P<0.02)と「きっぱりとした」(P<0.03)で有意差が認められた.

結論

ガムを咀嚼し続けることは,副交感神経が優位になりリラックス状態で平常心を保ち,気持ちを落ち着けて作業を行うことができ,一部ではあるがストレス軽減が見込まれると示唆された.
1)石山育朗・他:心拍変動,唾液成分および脳波による咀嚼時交感・副交感神経系活動の評価,日本咀嚼学会雑誌.16(2),2006.
2)菅野範・他:ガム継続接種による免疫及び自律神経,ストレスへの影響-オープンランダム化並行群間比較試験-薬理と治療.50(6),2022,1049-1054.

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