卒業研究発表

小脳性運動失調に対するBWSTTの適応と効果

2023年度 【理学療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

現在,小脳性運動失調に対するBWSTT(免荷式トレッドミル歩行訓練)の治療適応や治療効果について先行研究において確立されたものはない.臨床実習で経験したくも膜下出血による小脳性運動失調症状が残存する患者に対し,BWSTTを実施したことで歩行能力に改善がみられたため,先行研究と比較し,適応と効果について検証を行った.

症例紹介

50代男性,左後下小脳動脈留破裂によるくも膜下出血,病態安定まで長期臥床期間を要した.意思疎通良好であるが,小脳性運動失調症状が残存し歩行能力低下がみられた.

結果

病態安定後よりBWSTT治療開始し,BWSTT中の歩行スピード向上や歩行能力改善により安定したバランスを獲得,平地歩行においても失調症状なくQ-caneを使用した歩行が可能となった.

結論

BWSTTの小脳性運動失調に対する治療研究はまだ少ない.今回の症例において,BWSTTの治療効果は大きく影響したと考えられるが,BWSTT単独の治療効果を証明するまでには至っていない.しかし,BWSTT適応の幅が広がっていることは他の症例研究でも共通しており,今後も研究を深め,BWSTTの適応と効果を検証することでより多くの方の治療に役立てていけるようにしたい.
1)吉川昌太・他:小脳性運動失調を伴う脳卒中患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習が歩行能力に及ぼす効果 ―シングルケースデザインによる検討.理学療法学.48(4),2021,404-412.
2)中澤公孝:免荷式トレッドミル歩行トレーニングの理論と実際.国リハ研記.30,2009,4-7.

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