
スマートフォン使用が眼位に及ぼす影響とその要因の検討
2019年度 【視能訓練士学科 1年制】 優秀演題
背景
近年,スマートフォン(以下スマホ)の長時間使用と若者の急性内斜視の増加の関連が指摘されている.今回,スマホの使用による視機能への影響が短時間でもみられるのではないかと考えた.
対象者および方法
対象は大阪医療福祉専門学校視能訓練士学科1年制学生及び教員20歳代から50歳代の男女48名とした.まず,屈折値,融像幅,斜視角,輻湊近点の検査を行い,スマホにて20分間ゲーム(テトリス)を実施し,終了後すぐに再度同様の検査を行った.
結果
ゲームの前後で48名中34名に斜視角の変化がみられた.(外寄り:21名,内寄り:13名)年齢別にみると,外寄りに変化した人は20歳~24歳で70.0%,25歳~29歳で28.6%,30歳~34歳で33.3%,35歳以上で0%であり,若年層ほど外寄りの眼位になる傾向がみられた.
結論
先行研究では,スマホを長時間凝視する場合,輻湊の維持が難しく単眼視になることがあると示唆されている.今回,スマホを単眼視した結果,最大斜視角が引き出され外寄りの眼位になった人がいたと考える.また,スマホ使用開始年齢の早い若年層ほど,単眼視する習慣がついていることが推測される.