
下腿三頭筋の疲労が重心動揺に及ぼす影響について
― 歩行時の単脚支持期の安定性に着目して ―
2019年度 【理学療法士学科 昼間部】 優秀演題
背景
高齢社会が進むにつれて転倒による事故が増加している.本研究では,歩行時の単脚支持期の安定性に着目し,下腿三頭筋の筋疲労が重心動揺に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.
対象者および方法
本校理学療法士学科昼間部2,3年生の合計22名を対象とした.手順は1,重心動揺計用い片脚立位時の重心動揺を計測.2,BIODEXを用いて足関節底屈最大トルク値を計測.3,等尺性筋収縮を行い足関節底屈トルク値が最大トルク値の50%になるまで下腿三頭筋を疲労させる.4,疲労前と同様の手順で重心動揺を計測.総軌跡長,Y方向軌跡長,Y方向最大振幅,X方向軌跡長,X方向最大振幅の項目において疲労前と疲労後で対応のあるt検定を実施した.
結果
総軌跡長,Y方向軌跡長,Y方向最大振幅に有意差が認められ,X方向軌跡長,X方向最大振幅は有意差が認められなかった.
結論
高齢者は,下腿三頭筋に過度の筋疲労が生じると,足関節を動的に安定させることが出来ず,重心の制御を行うのが困難なため立脚後期を消失した歩行動作になる可能性があり,リハビリ介入時に歩幅を拡大するような歩行練習を行うと足関節背屈モーメントを制御出来ずGiving wayを惹起する可能性がある.