卒業研究発表

左足底前内側接地困難が特徴的な左片麻痺患者の歩行動作に着目した例

― 母指挙上位(浮足)による歩行への影響 ―

2022年度 【理学療法士学科 夜間部】 口述演題

はじめに

母趾挙上(浮足)が,歩行時に支持基底面を減少させることや重心の前方移動を制限するという先行研究がある.本症例において浮足が歩行に及ぼす影響を検討した.

症例紹介

本症例は右被殻出血を発症し,1年前に外反母趾手術の既往歴を持つ.現在在宅で独居,訪問リハとヘルパーを利用し,段差昇降の改善が認められ,屋外歩行が次の目標になった.

評価

左足部は母趾挙上位で,内側不接地の状態で左母趾屈曲制限があった.歩行時のMst~Tstにかけて左母趾伸展が過剰となり,内側接地面は減少し,足部は回外位となった.重心の前方移動は不十分で体幹の前屈を伴った.

考察

足部内側の関節機構はMstからTstにかけて剛性を高める.浮足ではこの機構が不十分となる.また,足底圧中心の外方偏位が起こり,転倒リスクやバランス能力低下につながることが分かった.本症例はこれらに当てはまり,浮足による影響が出ていると考えられる.治療としては,振動覚にて足底感覚入力を行うことが出来る足底板を使用し,足底のフィードバックを高めることにより,重心の前方移動の改善を行う方法が有効と考えられる.

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