卒業研究発表

朝食を摂取することと集中力の関連性

2015年度 【診療情報管理士学科】 口述演題

はじめに

医療系専門学校では,通常朝から講義があり,そのため朝食が済んでから講義を受けることになる.しかし,近年朝食を取らずに登校して、講義を受ける者が増えている.
食事の効果としては血糖値の上昇,神経核の活性,体温上昇,味覚や嗅覚刺激による視床・大脳辺縁系の活性,体内リズム形成など数多くの効果をもたらし,心身の活動力を高める.
食事をしたことにより血糖値は上昇し,その後,脳,肝臓や筋肉へと糖が運ばれていき,各臓器で活動源として利用される.特に脳はブドウ糖のみをエネルギー源としていることが証明されており,記憶力と関係のある海馬ではブドウ糖が多く消費されている.
また,中脳に存在する神経核は,活性化されると視床下部に神経伝達物質を渡して食欲や性欲および全身の代謝を制御する.それから情動と関係の深い大脳辺縁系,随意的な運動の調節をする大脳基底核,意欲,注意集中力と関係の深い前頭葉,記憶を司る側頭葉など,さまざまな部位を制御している.
では,朝を欠食するとどのような変化が起きるか.欠食すると血糖値が上がらず,前日の夕食後から翌日の昼食時まで何も食物が補強されないためにエネルギーが枯渇する.特にブドウ糖が補給されないため,脳における栄養の不足が顕著になり,そのため,前述したような朝食の効果は激減する.そのことが,心身の活動力の減少,意欲や記憶力,注意集中力の低下,疲労度上昇、覚醒などを生じさせる.
そこで,本研究では,医療系専門学校生を対象に朝食を取ることで,朝の講義を集中できているか,同一学生に対し、朝食を取った日と朝食を取っていない日に対して集中力を測るテストを行い,朝食と集中力には関係性があるのかを調査し,朝食を取ることの有効性を得ることを目的とした.

対象および方法

某医療系専門学校の診療情報管理士学科の1年生の中から12人選出し,朝食を取った日と取らなかった日の2回に分けて,集中力をはかるテストを行った(2回目は1回目測った日とは別の日に実験した).前後のデータが取れたのは10人であった.テストの方法は,まず,各被験者にグリットエクササイズの格子図を配り,3分間にこちらが指定したある数字を見つけ,そこから後に続く数字を順番に消していく.(例えば23と指定された場合,23を探し出して消し,その後順番に24,25と消していく.)
そして,3分間にどれくらいの数を消せるか調べ,数多く消せたほど集中力は高いとした.
朝食を取った日と朝食を取らなかった日(以下,朝食を取った日を朝食摂取日とし,朝食を取らなかった日を朝食非摂取日とする)で,差がでるかを比較した.

結果

実験の結果,朝食非摂取日の数より朝食摂取日の数のほうが上回った時の差の最大数値は16で反対に最小数値は-11であった.朝食摂取日と朝食非摂取日を比較すると朝食摂取日のほうが平均で5.6高い結果となった.

考察

本研究において,朝食摂取日と朝食非摂取日に集中力の差があらわれた.要因として,朝食を摂取しなかった事で,脳のエネルギーが枯渇したことにより朝食摂取日よりも,集中力に差が生じ,数値が上がらなかったのではないかと考えられる.
本研究被験者10人の内,8人が朝食非摂取日よりも朝食摂取日のほうが数値はあがっていたが,残り2人は朝食非摂取日よりも朝食摂取日のほうが数値は下がる結果となった.このことは,朝食の有無以外にも他の要因が作用したと考えられる.

まとめ

今回の研究では,朝食を摂取したことにより,集中力が向上する結果が得られたが,一部低下の結果から,集中力には他の要因も考えられるため,それらを関連づけながらのさらなる研究が求められる.

文献

1) 武田秀勝,浅野葉子 他: 朝食摂取が加算作業に及ぼす影響. 藤女子大学QOL研究所紀要. 2012, 26-27.

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