卒業研究発表

医療系専門学生におけるSNSの利用状況調査

2015年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

はじめに

現代社会ではSNSでのトラブルが増加し,プライバシー意識がSNSの設定に反映されていない¹⁾.特に医療の現場では個人情報を多く扱っており,守秘義務が必要とされているが,患者の情報漏えいなどの問題が起こっている.本校の学生はプライバシーについて学んでおり,SNSの利用に注意をはらっていると考える. そのため,医療系専門学生のSNSでのプライバシーやトラブルについて調査し,SNSの利用を制限すると暴力的になるなど精神面への影響もみられている²⁾ため,心理的側面への項目も含め幅広く調査する.

方法

本校の学生270名を対象にアンケートを行った.分析方法は単純集計で,アンケート内容は,SNS利用の有無,種類,頻度,利用時間,利用を制限された場合の心理状況など16項目である.倫理的配慮として,研究の目的や方法を口頭で説明後,参加の任意性や個人情報の保護などの同意書を配り,署名によって参加に同意したものとみなした.

結果

回収率100%,有効回答率85%であった.有効回答者の平均年齢23.1歳で,男性117名,女性112名であった.SNSの種類・利用頻度ともにLINEが最も多く,利用時間は,48%が1時間以内であった.SNSとはという質問に対して,ないと生きていけない,なくても生きていけるが約30%あった.知人の写真を無断でアップしたことがある人は56%であり,知らないうちに自分の写真がアップされたことがある人は82%であった.その際なにも思わない人が73%であった.他人の情報をSNS上に載せることについて,いいと思う31%,写真または名前ならいいと思うと答えた人は31%となった(図1).SNS上でのプライバシー意識とその設定について,知られたくない人の割合と実際のSNSでの公開設定を非公開にしている人の割合はほぼ同数であった.またSNSで9%の人はトラブルがあり,内容は無断で写真や名前を載せたことによるトラブルなどであった.

文献

LINE利用が多いがSNSがなくても変わらないことから,SNSは連絡手段として利用している.また医療系専門学生は大学生より利用時間が少ない理由として,自由時間が少ないためと考える.そのため,SNSがなくてもよい,変わらないが70%であると考える.他人の情報をSNS上にのせても良い人がいるため,無断で写真をアップすると考える.プライバシー意識が高い人はそれに伴った設定をしているため,プライバシー意識が低い人も自己の意識で設定も変わり,トラブルも減るのではないかと考える.

まとめ

医療系専門学生はSNSに対するプライバシー意識が高いと考えたが,31%は意識が低く,今後,プライバシー意識の重要性を高める必要が示唆された.

考察

1)高橋一哉,上野亮・他:大学生におけるFacebookのプライバシー意識とその行動に関する研究―青山学院大学社会情報学部生をケーススタディとして―.情報処理学会第75回全国大会,2013.
2)岡本百合,三宅典恵・他:大学生のインターネット使用の実態―依存傾向と精神心理学的側面との関連―.広島大学保健管理センター研究論文集.30,2014,7-13.

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