卒業研究発表

LEDペンライト照度が残像時間と眼位検査に与える影響

2016年度 【視能訓練士学科 3年制】 口述演題

背景

近年LEDの普及が著しいが,従来の白熱球に比べ眩しさを感じやすいとの報告1)がある.眼科領域においてもLEDペンライトが多用され,眩しさ軽減目的で照度を下げる工夫を多く見かける.しかし,LED照度が検査結果に与える影響については検討がなされていない.そこで我々は先行文献2)に基づきLEDライト照度と残像時間の関係を検証し,また,LED照度が眼位検査結果に影響を及ぼすのか検討を行った.

対象および方法

対象は矯正視力(1.0)以上,屈折異常以外に視機能に異常がない,15△以内の外斜位,18~29歳の本校学生20名40眼とした.
条件は,検査室:本校7階実習室(1050 lx) 光源呈示距離33cm 光源照度:①TOSHIBA LEDライト(980lx)②LEDライト+サージカルテープ(410lx)③LEDライト+オートレフの用紙(170lx)以下光源①②③とする.
方法は,照度の違う3種類の光源を用いて行い,照度を変えたときの残像持続時間を測定した後に,眼位検査を交代プリズム遮閉試験にて斜視角定量を行った.

結果

残像検査の結果では,照度が高いほど残像持続時間が長く,低いほど残像持続時間が短くなった.
眼位検査の結果,平均の斜視角は光源①では約8.5△,光源②では約7.5△,光源③では約7△であった.それぞれ回帰分析にて,光源①と光源②では有意差は見られず,光源①と光源③では有意差が見られた(0.02680127≦0.05).

考察

照度が高いほど残像持続時間が長いため調節が介入しにくく絶対視標として考えられる.オートレフの用紙やサージカルテープで人工的に照度を落とすことにより絶対視標の役割が果たされず,調節性輻輳の介入が考えられる.

まとめ

外斜視の術前検査では最大の斜視角を出す必要があるため,照度の高い光源を使用する方がよいと考えられる.臨床的には患者様の負担を考慮し照度の低い光源を使用するなど,検査目的により使い分けた方が良いと考える.

文献

1)LED照明推進協議会(internet):
http://www.led.or.jp/led/aboutled.htm
2)武内 徹二, 吉村 義典・他: 高輝度光源による残像の持続時間.照明学会雑誌.63, 1979,56.
3)向井 亮:網膜に与えるLEDの影響 サル網膜におけるLED照射前後での機能と形態の変化について.北関東医学,64(1),2014,101-102.

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