卒業研究発表

大阪医療福祉専門学校におけるバリアフリーの実態について

― 障がい者が感じる不安 ―

2016年度 【診療情報管理士学科】 口述演題

背景

学校施設においては,子どもの学習や生活を行う上で必要な施設機能の充実,地域のコミュニティの中心として必要な施設機能の充実の観点から整備が進められており,その整備の一つとして施設整備のバリアフリー化が推進されている.
実際にバリアフリー化がなされると,「これまで障害のある生徒は学力があっても施設は整ってないために入学が難しかったが,今後は努力すれば,入学できるようになる」と指摘されるように,障害のある受験生の学校を選択する機会が,より保障されることに繋がるものと思われている.
そこで今後障がい者が円滑に学習することができ,入学しやすい環境にする上で必要な資料を得ることを目的に,大阪医療福祉専門学校において,どれだけのバリアフリー設備が存在し,また障がい者にとってどのようなバリアが存在するのかを調査し,健常者の視点と車椅子利用者の視点を比較し考察した.

対象者および方法

1. 対象者
某大阪医療福祉専門学校 診療情報管理士学科
学生5名 教員1名
2. 調査方法
本館とその周辺の事前に決めたルートを移動し,今あるバリアフリーを調べ,現在設置されていないバリアフリーを調査し,記入した.
3. 調査内容
健常者が車椅子に乗り,横に補助が同行したうえで校内やその周辺を歩いて調査し,不便に感じた場所を選抜し写真を撮り,それらの写真を元に校内図を作成した.

結果と考察

1. 校舎の入り口について

大阪医療福祉専門学校の正面入り口に,スロープがある場所までの案内板が設置されている.
それにより,車椅子利用者も迷うことなく校内に入ることが出来た.しかし,スロープ周辺は荷物などが置いており,通過は困難だと思われた.改善点としては,正面入り口にスロープを設置することが出来れば,より便利に校内に入ることが出来ると考えられた.

2. 多目的トイレについて

多目的トイレは広さや機能性などについて問題はなく,障がいをもつ方でも不自由なく使用することが出来ると思われた.また,呼び出しボタンが設置されており,ボタンを押すことによって職員を呼び出すことができるので,緊急時にも対応できることができ,安全性は確保されていた.しかし,多目的トイレが設置されているのは2階のみとなっており,上層階に上がっていくほど利用するのが不便に感じられた.また,女性トイレと多目的トイレが同じ部屋にまとめられているため,男性の車椅子利用者は入りづらく感じたであろう.改善点としては,扉にトイレを使用していることを表す目印などを付けることによって,トイレに人が存在しているか分かるようになり,使用しやすくなると思われる.

3. 教室について

各教室の扉が重いため車椅子利用者は補助者がいない限り扉を開けるのが困難だと思われた.また,一部の教室は机同士の距離が狭い点や段差によって,通行が困難だと感じられた.改善点としては,各教室の扉をスライド式にすることによって補助者がいない車椅子利用者でも不便に感じないだろうと思われる.また,机同士の幅を広くすることによって,車椅子利用者でも快適に授業を受けることができるであろう.

4. エレベーターについて

エレベーターのボタンは低く設置されているため,車椅子利用者でもボタンを押すことができ,不便を感じなかった.また,鏡が設置されているため,後ろの状況も把握することができた.しかし,ボタンに関して、開延長のボタンがなかったため,利用者一人で利用する場合,危険だと感じた.

まとめ

本研究では,大阪医療福祉専門学校において,どれだけのバリアフリー設備が存在し,また,障がい者にとってどのようなバリアが存在するのかを調査し,健常者の視点と車椅子利用者の視点を比較し考察した.本校では,完全なバリアフリーが十分とはいえないが,学校生活を送るうえで,最低限の設備は整っていたように思われた.現在,設置されているバリアフリーに対して便利な点と不便な点が散見されたので,今後さらにバリアフリーに対しての学校の整備を整え,障害を抱えている学生が快適に学校生活を過ごせる環境作りが期待される.

文献

1)佐藤平,西島衛治,学校におけるバリアフリー環境の在り方

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