卒業研究発表

作業療法士を知ったきっかけに関するアンケート調査

2016年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

背景

日下1)によると,「介護保険領域の理学・作業療法士の就業増加は推進しなければならない.」「地域包括ケアシステムの推進にリハビリテーションは重要な領域であり理学・作業療法士の役割も同様である.」としている.川本2)によると,「地域を担えるOT人材が不足している」と言われている.さらに佐藤ら3)によると,一般大学生に対して作業療法士の認知度を調査したところ,4.7%であったとされている.
そこで我々は作業療法士学科の学生がどのような方法で作業療法士を知ったかを知ることで,どこにアプローチをすれば作業療法士を知るきっかけを増やすことができるかを知ることが出来ると考え,このアンケートを実施した.

対象および方法

対象:大阪医療福祉専門学校の作業療法士学科に在籍する昼間部,夜間部の学生,男性50名,女性120名,計170名.年齢平均は23.08歳であった.
方法:単純集計.アンケート内容は①年齢②性別③学年④「作業療法士」という名称を最初に知った方法⑤作業療法士の仕事内容を最初に知った方法⑥作業療法士に進路を決めた理由※①は自由記述,②~⑤は1つ選択,⑥は複数選択.
倫理的配慮として,研究の目的,研究の方法を文面と口頭で説明し,研究への参加の任意性と同意撤回の自由,個人情報の保護に関することに同意を得た.

結果

志望動機は「人の役に立ちたい」が80名,「資格取得のため」が76名であり,各領域へ興味があった学生は半数以下であった.

考察

境ら4)によると,「年齢の低いものと比べ,高年齢層の方が医療・福祉サービスを受ける機会が多く,作業療法士を知る機会が多い」と言われている.そのため,学生は作業療法士の仕事に触れる機会が少なく,リハビリを受けて名称や仕事内容を知った学生が少なかったのではないかと考える.
さらに,名称を知った方法として「家族から聞いた」が33名であることに対し,仕事内容は「家族から聞いた」が0名であった.これは,仕事内容が浸透していないのではないかと考える.
名称,仕事内容をインターネットで知った人が多く,仕事内容はオープンキャンパスで知った人が多かった.これは,リハビリや作業療法士に興味を持った人の行動であるため,作業療法士を全く知らない人に知ってもらう方法としてアプローチすることは難しいのではないかと考えた.
志望動機としては,資格取得のためや,人の役に立つためと答えた学生が多く,各領域で仕事をすることに興味があって志望した学生が少なかった.このことから,仕事内容,領域のことをあまり知らないまま志望しているのではないかと考える.

まとめ

具体的な仕事内容を知ってもらい作業療法士の志望者を増やすために,学校でのガイダンスをより多く行う必要があると考えた.作業療法士が臨床現場の話をする,作業療法場面のビデオなどを流すなどの活動を積極的に行うことで,作業療法士の仕事内容を知って興味を持つ学生が増えるのではないかと考える.

文献

1)日下隆一:介護保険領域における理学療法士・作業療法士の就業について.佛教大学保健医療技術学部論集 第9号, 2015,113-122.
2)川本愛一郎:マイOTアイデンティティの旅のススメ.作業療法ジャーナル49(9),2015,890-895.
3)佐藤法仁,渡辺朱理,鳥井康弘,苔口進:医療および介護・社会福祉系専門資格の認知度に関する研究─研修歯科医師と非医療系大学生との比較─.医学と生物学 第153巻第11号,2009,540-544.
4)境信哉,村井真由美,竹原敦,中村正三:作業療法士の知名度に関する調査~山形県の場合~.山形保健医療研究 第一号,1998,39-44.

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