卒業研究発表

褒めと単独・共同作業が気分・感情に与える影響

2016年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

「ほめと共同作業が内発的動機に与える影響」による研究では,実験者と共同で作業を行った参加者の方が,別実験への参加意欲が有意に高く,より長い期間実験に従事する意思を示したことが明らかになっている1).しかし,単独・共同作業での気分感情に及ぼす研究は示唆されていない.そこで私たちは,共同・単独作業と褒めによる気分・感情の変化の特性を知る事で, 声掛け(褒め)を行う事で,患者様のリハビリに対する意欲向上をもたらし,作業療法訓練の質の向上につながるのではと考えた.

対象および方法

対象者は,大阪医療福祉専門学校に在籍する学生で本研究の趣旨を十分に説明した上で実験を実施した.方法は,ぬりえを単独(A4)又は共同(2人)(A3)で行う.ぬりえはマンダラぬりえを使用し,12色の色鉛筆を使用する.作業時間は,約20分である.環境設定は,室内を2つに分けて使用する.机を4つ組み合わせて1つとし,それぞれの机上に色鉛筆と鉛筆削りを準備し,単独・共同共に距離は統一する2).実験の流れとしては,作業前に評価アンケート実施→作業前に5分間の休憩を入れる→作業をしてもらう→声掛けによる褒めの実施→評価アンケート実施である.

結果

実験の結果,単独作業のポジティブ・ネガティブ面には大きな差は見られなかったが,共同作業ではポジティブ・ネガティブ面に大きな差が見られた.(図1)又,実験後アンケートによる「嬉しい」「楽しい」の項目では,単独では「嬉しい」13名,「楽しい」4名,共同では「嬉しい」14名,「楽しい」17名という結果がみられた.

考察

環境設定+共同作業+声掛け(褒める)+会話が作品の特徴に強く表れている事,また,POMS結果の実験後アンケートの結果から単独作業では会話が発生せず,作業に集中する為,それが作品への愛着となり,褒めの効果が結果につながったのでは,また共同作業では作業に対する過程や会話などの「共に作業をする喜び」+「褒め」が結果に繋がったのではないかと考察した.

まとめ

共同作業におけるポジティブ感情の上昇とPOMS結果の実験後アンケートの結果リピート率の向上から声掛け(褒める)+共同作業を行う事で患者様のリハビリに対する意欲向上をもたらしOT訓練の質の向上につながるという事が明らかになった.

文献

1)池田 和浩・小泉 嘉子・他:効果的にほめるには?:ほめと共同作業が内発的動機に与える影響.尚絅学院大学紀要(67),2014,73-82.
2)巽 絵理・四本 かやの・他:作業療法面接場面からみた統合失調症患者のパーソナル・スペース.四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要5,2009,27-33.

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