卒業研究発表

ヨーガチェアが心身機能に及ぼす影響

― いつまでも自分らしく暮らしていくために ―

2017年度 【作業療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

 近年,高齢者でも実施可能なヨーガチェアが注目されていることから,本研究では筋力と柔軟性の要素を組み合わせたヨーガチェアが転倒予防に効果があるのではないかと考えた.また,ヨーガは自律神経を亢進することからヨーガチェアが心理面にも効果があるのではないかと考えた.

対象および方法

対象者は,大阪医療福祉専門学校に在籍する作業療法士学科の学生29名に対し1人ずつ実験した.被験者は4件法でのアンケートの記入と,ファンクショナルリーチテスト(以下,FRT)の測定を  ヨーガの前後に実施,ヨーガチェアの動画を見ながら検者と一緒に実施した.分析方法は,FRTは対応あるT検定,アンケートはウィルコクソン順位和検定を使用し,ヨーガチェア実施前後の数値を比較する.倫理的配慮として,被験者は事前に実験の目的及び方法について十分な説明を受け,研究参加に同意をした後に参加した.

結果

実験の結果,FRTでは28.9cmから30.5cm有意差が認められた(p<0.01).アンケートでは,マイナス因子(図1)では,3項目で有意差が認められた(p<0.05).プラス因子(図2)でも3項目では有意差が認められた(p<0.01).

考察

 西銘ら1)は,リーチ動作中の上肢の高さを規定したFRTを行うことで,足関節戦略による姿勢制御が必要となる,と述べていることから,ヨーガチェアによって下肢の柔軟性が向上し,足関節戦略での姿勢制御による支持基底面内における前後方向への動的バランスが向上したと考える.
 田中ら²)は,意識的腹式呼吸を行うことで,自律神経反応に影響を与え,副交感神経優位な状態に導ける,と述べていることから,ヨーガチェアによってマイナス因子は抑制され,プラス因子が促進されたと考える.マイナス因子は姿勢コントロールに直接的に影響を及ぼすと言われており,マイナス因子の抑制することによって転倒リスクの軽減にも繋がるのではないかと考える.

まとめ

 本研究においては,FRTの前後方向への測定しか行っていないため,ヨーガチェアによって転倒予防が出来るとは言い切れない.しかし,心理面に効果があることが検証された.気分が安定し運動を継続するための転倒予防プログラムの1つとしてヨーガチェアが活用できるのではないかと考える.

文献

1)西銘耕太,熊田仁・他:考,ファンクショナル・リーチテスト.藍野学院紀要,第23巻,2009,18-26.
2)田中美智子,長坂猛・他:意識的腹式呼吸がもたらす高齢者の自律神経反応及びホルモン変化.形態・機能,10(1),2011,8-16.

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