卒業研究発表

優秀演題

プロサッカー選手の膝関節複合損傷後の1症例

― 競技復帰に向けた理学療法プログラムの再検討 ―

2019年度 【理学療法士学科 夜間部】 優秀演題

背景

 今回,右膝関節複合損傷(前十字靱帯断裂,半月板損傷,脛骨骨挫傷)術後約1年が経過したプロサッカー選手に対し,試合復帰に向けて理学療法を担当する機会を得たのでここに報告する.

対象者および方法

 対象は20歳代の男子選手である.自覚的コンディションは70%で,スクワット動作の観察から術側下肢の制動性が不十分であることに着目した.同動作において,右足部の外側への荷重偏位と右股関節の外旋偏位に伴う受動的な右脛骨内旋が生じ,右膝関節の外側動揺を認めた.また,右膝関節伸展最終域で右大腿四頭筋の痙攣を認めた.MMTなど機能評価では同筋に問題は認めなかったため,スクワット動作時の協調性の低下を疑い,感覚入力を反復するアプローチを継続的に行った.

結果

 介入3週間後のスクワット動作では,右膝関節の左右の動揺は軽減し,最終伸展時には右大腿四頭筋の痙攣は消失した.自覚的コンディションは100%となり20分間の競技復帰を果たした.

結論

 ハイアスリートの利き足に生じた膝関節複合損傷において,炎症期から関節内の病態観察に加え,協調運動改善に向けたプログラムの有効性が示唆された. プロアスリートの現場では,一般的な検査・測定に留まらず,より詳細かつより高い質の理学療法評価と治療を行うことが求められることを痛感した.

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