卒業研究発表

術後疼痛の原因判明により破局的思考が改善されADLの向上につながった症例

― 疼痛と心理面に着目して ―

2019年度 【理学療法士学科 夜間部】 口述演題

背景

 下は痛みを経験している際に,ネガティブな情動から痛みの破局化が生じ,痛みを長引かせたり悪化させたりする悪循環に至ると報告している.今回臨床実習において左TKAを施行され左膝関節下部に疼痛を呈した症例を担当した.対象者は既往の右TKA術後での疼痛は早期に減退しており,今回の疼痛がなくなるのか,また元の生活に戻れるのかと不安を訴えており,疼痛を避けるために十分な身体活動ができず,破局的思考によるリハビリ進行の遅延という問題があった.

対象者および方法

 対象は,年齢80歳代,女性.術後2週目から理学療法学生が介入を開始し,治療と並行して対象者の左膝関節下部の疼痛(NRS)と発言の変移を記録し,経過をまとめた.

結果

 術後3週目まで継続してNRSは8であったが,診察にて原因を知り,その後NRSは5,最終的に2まで減少した.また対象者の発言がネガティブなものからポジティブなものに変わり,ADLは車椅子駆動からT字杖で歩行が自立となり,また階段昇降は不可能であったが近位監視にて可能となった.

結論

 疼痛の原因が明らかになりNRSが減少した.このことから疼痛と心理面は密接な関係があると示唆された.疼痛に敏感である患者様に対しては,傾聴し寄り添った介入が必要であると考える.

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