卒業研究発表

作業療法の「わかりやすい説明」による興味の変化

― 意味ある作業に焦点を当てた実践に向けて ―

2019年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題

背景

 作業療法の専門性であるクライエントの「意味ある作業」に焦点を当てた治療実践には,様々な障壁があると言われている.梅崎らは,その理由として作業療法の認知度の低さと,「リハビリ=機能訓練」という一般的なイメージから多くのクライエントが機能訓練を要求することを挙げている.そこで,クライエントに作業療法への興味を喚起する「分かりやすい説明」が必要ではないかと考えた.

対象者および方法

 対象は10代後半~80代の男女156名.ランダム化した2群の,実験群に茨木県立保険医療大学のホームページから引用した「作業」を具体的に説明した文章を,対照群に日本作業療法士協会の定義を説明文とし,読後の興味の変化をX²検定で分析した.倫理審査委員会の承認を得て実施した.

結果

 フェイスシートの情報から「事前の興味の有無」が興味の変化に最も影響を与える因子であることが明らかになった.一方,認知度は興味の変化に影響を与える因子とは認められなかった.また,「作業」の説明に焦点化した実験群では,事前に興味がなかった人にも「作業」に対する興味の向上がみられた.

結論

 作業療法の認知度の低さは,作業に焦点を当てた実践の阻害因子にはならない可能性が示唆された.また,作業の具体的な説明が作業療法の「わかりやすい説明」となる可能性が見出された.

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