発達分野における訓練
― 言語聴覚士訓練と作業療法士訓練の違い ―
2020年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題
背景
言語聴覚士学科の授業の一環である「ことばの相談室」で出会ったお子さんの就労相談の際,コミュニケーションの重要性が分かった.特別支援学校は小学校から就労前までの長期間,コミュニケーション訓練(以下訓練)を行える場所だと知ったが,古山らや中谷らによると訓練を行う言語聴覚士 (以下ST)と作業療法士 (以下OT)の職業理解について,特別支援学校教員の理解が低い事が指摘されている.この背景から,OTとSTの訓練に対しての視点の違いを明らかにすることを目的とする.
対象者および方法
発達領域で勤務する,ST3名 (平均年齢39±10歳) ,OT10名 (平均年齢37±11歳)を対象に発達障害児37名 (平均年齢10±8歳)の訓練についてアンケートを行った.
結果
ICFのコミュニケーションに関わる39項目中,治療時に重視している項目の優先順位はSTでは「会話」,OTでは「情動機能」と「注意機能」が挙げられた.また,STとOTの治療方法については互いに求めている治療内容が聞かれたが,連携は行えていないのが現状であった.
結論
STとOTでは訓練の優先順位が異なる.また,互いの専門性の把握は出来ているが,それを踏まえての連携が不十分である.今後は,STとOTの訓練内容を補完できるような連携が求められる.