マスク装着の有無による運動負荷時の呼吸循環応答の検討
2021年度 【理学療法士学科 昼間部】 口述演題
背景
COVID-19の流行によりマスク着用が必須となった中,世界保健機関(World Health Organization)はマスクによる呼吸困難を懸念している.このような状況下で運動療法を実施する職種としてマスク着用時の運動負荷時の呼吸循環応答への影響を知る必要があると考えた.
対象と方法
本校理学療法士学科昼間部3年34名にマスク着用と酸欠の関係についてのアンケート,同学科昼間部3年6名に実験研究を行った.実験研究では,エルゴメーターを70Wの負荷で10分間行い,それぞれマスク有り無しで実施した.測定項目はSpO₂,脈拍数,呼吸Borg,下肢Borgとした.安静時から10分後の各測定項目の変化量を,2群の母平均の差の検定で検討した.
結果
アンケートでは9割以上の人がマスクを着用すると酸欠になりやすいと思うと回答した.しかし実験研究では呼吸,下肢Borgに有意差が認められたが,SpO₂,脈拍数は有意差が認められなかった.
結論
マスク着用しての運動は酸欠になりやすいという先入観を多くの人が持っているが,70W程度の軽負荷であれば循環機能自体には影響がなく,呼吸機能の代償で運動を行えていると推測された.故に軽負荷であれば酸欠にはならないことが示唆された.