素手とゴム手袋着用における巧緻動作の比較
2021年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題
背景
松尾らは,「医療用ゴム手袋による手指の巧緻性について感染予防対策に加え,患者への院内感染防止上からもゴム手袋の着用が必要とされている」と述べている.
対象者および方法
本校作業療法士学科昼間部3年20歳代前後の男女30名を対象とした.方法は①簡易上肢機能検査の巧緻動作のサブテストである検査8,9,10を素手とゴム手袋装着の両方を利き手で行い,②それぞれの検査につき時間を測定し比較し,③対象者には測定後,知見を高めるために自由記述を課した.なお,素手とゴム手袋装着比較の統計解析には,Excel2010を用いた.
結果
簡易上肢機能検査8,9,10の平均値を抽出し,対応のあるT検定で比較した.結果,素手とゴム手袋では有意差は見られなかった.自由記述からもゴム手袋の着用は素手と比較して,違和感などを訴える所見はなかった.
結論
①ゴム手袋での操作は視覚で代償することができる,②ゴム手袋は柔軟性が高く手にフィットしやすい,③ゴムの素材がすべり止めとなり掴みやすいことから有意差は見られなかった.手袋の装着は,感染予防にも有効であり,物品を扱う操作性に有効であることが示唆できた.