早食いを改善させる環境設定を中心とした介入方法の検討
― 特別養護老人ホーム入居者のシングルケース研究 ―
2021年度 【作業療法士学科 夜間部】 優秀演題
背景
特養職員にアンケートを実施した結果,早食いの問題が挙げられた.早食いは誤嚥を誘発し肺炎に繋がる恐れがあるが,人員不足の介護現場では発見が遅れ死亡事故も報告されている.本研究では早食い改善を目的に,人員不足でも可能な環境設定を主とした介入方法の検討をした.
対象者および方法
入居者1名の食事の様子をビデオ撮影し,時間の計測と分析を実施した.視覚的介入,聴覚的介入,両方を行う同時介入の3つを実施した.初日を介入なしのベースラインとし,介入後のデータと比較した.介入は、倫理審査委員会で承認後実施した(大阪医 第21-教—51号).
結果
初日の食事時間は10.3分であった.視覚的介入は初日に時間の増加を認めたが,その後減少していった.聴覚的介入では増減を交互に繰り返した.同時介入期間では18~20分を維持していた.全介入終了後の結果は13.5分であった.
結論
視覚的介入には効果の持続性が見られなかった.同時介入では食事時間の増加が認められ早食い防止に効果があった.食事時間はメニューに影響されると考えられるが,明確な共通点は認められなかった.より効果的な介入方法を検討するためには,対象者の心身機能の評価が必要である.