BPMが歩行に与える影響
― 歩行・歩行速度・歩行両脚支持時間・歩幅について ―
2022年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題
背景
阿部らは認知的負荷の低い課題では,Back Ground Musicのテンポの違いが作業効率に影響を与えると述べている.本研究では,どのようなテンポ(以下,BPM)が快適に安定して歩行できるのかについて明らかにすることを目的とした.
対象者および方法
作業療法士学科22名(男性5名,女性17名,10~30代)を対象に3つのテンポ(BPM60・120・180)で歩行課題を実施した.歩数・歩行速度・歩行両脚支持時間・歩幅を測定し,反復[経時]測定分散分析・Bonferroniの多重比較・重回帰分析を行った.
結果
歩行速度ではBPM60とBPM180,歩行両脚支持時間ではBPM60とBPM120,歩幅ではBPM60とBPM180に有意差を認めた.歩数では有意差が認められなかった.
結論
歩行の安定性に影響を与えているのは歩行速度であり,歩行速度が上がると歩行の安定性が上がることが分かった.リハビリ高齢者も歩行速度を上げることで転倒歩容が低下することから,歩行速度と歩行の安定性の関係は若年者と同じであると言える.低いBPMであっても徐々に上げることで歩行の安定性が上がり,転倒予防につながるなど歩行練習に活かせるのではないかと考える.