音と光が短期記憶に与える影響について
― 音楽と照明の関係性について ―
2022年度 【作業療法士学科 昼間部】 口述演題
背景
会話など意味のある音は集中力を妨げるがBGMは集中を妨げない.また照明が暗い環境では聴覚刺激に対する反応率が高くなるという結果がある.そこで本研究では短期記憶に対する音楽と照明の関係性を分析し記憶障害や注意障害への治療に与える影響を明らかにすることを目的とした.
対象者および方法
作業療法士学科昼間部3年生20名を対象とした.環境Aは教室の照明を全部ON(以下,明環境)にし音楽が無い状態(以下,音無環境),環境Bは教室の照明を細かな文字が読める程度の10Lx(以下,暗環境)に設定して音無環境,環境Cは明環境で普通の声が聞き取れる程度である60dbの音楽を流す(以下,音有環境),環境Dは暗環境で音有環境とした.各環境下でランダムに羅列された数字を60秒以内に覚えて,その後60秒間で書き出してもらい,正解数を比較分析した.
結果
環境Aと環境Bに一番有意差があり他の環境間では大差がなかった.音無環境においては明環境のほうが短期記憶は上がり,音有環境では短期記憶が照明の明暗に左右されないことがわかった.
結論
学習時や記憶障害,注意障害などの患者へ治療,訓練する際には実施する場所を明環境で音楽が無い環境に設定することにより治療結果の向上につながる可能性がある.