筋酸素抽出能と筋機能との関連性
2022年度 【理学療法士学科 昼間部】 優秀演題
背景
Fickの式から,筋酸素抽出能が高いほど最大酸素摂取量が向上し運動耐容能が向上すると考えられる.しかし,筋酸素抽出能は未だ不明な点が多く,筋質や筋力、筋量などの筋機能との関連も不明である.そこで本研究では,筋酸素抽出能と筋機能との関連を明らかにすることを目的とした.
対象者および方法
対象は健常人20名とした.体組成計を使用して体重と骨格筋量を計測し,骨格筋量体重比(%BW)を算出した.ハンドヘルドダイナモメータを使用して膝伸展筋力を測定し,筋力体重比(WBI)とMuscle Quality Index(MQI)を算出した.30秒椅子立ち上がりテストを行い,経皮的酸素飽和度と組織酸素飽和度を測定し,筋酸素抽出率を算出した.統計解析はシャピロウィルク検定で正規性を確認し,筋酸素抽出率とMQI,WBI,%BWとの関連はスピアマンの順位相関係数を用いた.
結果
筋酸素抽出率とMQIは関連を認めなかった(r=0.33,p=0.16)が,筋力と筋量との間にそれぞれ正の相関を認めた(筋力:r=0.45,p<0.05,筋量:r=0.76,p<0.01).
結論
健常若年者においては,筋量が多いほど筋酸素抽出率が高いことが示唆された.筋量が増えると筋線維がより密な状態となり,筋酸素抽出能が向上すると考えられる.